コンベヤベルトの蛇行について➀
- #騒音
『ベルトの蛇行』と『ベルトの片寄り』は、異なる現象であることをご存じでしょうか?
『ベルトの蛇行』とは、その名の通り、ベルトが蛇のように左右にくねくねと曲がりながら進む現象です。この現象は、特にベルトが曲がっている場合によく発生します。一方、『ベルトの片寄り』については、ベルトが左右どちらかに寄って進む現象を指し、主にコンベヤ機体の影響によって発生すると考えられています。
『ベルトの蛇行』についてですが、まず、ベルトが蛇行することは避けられない現象であることを理解しておく必要があります。コンベヤ機体は、機械部品であり、1/1000の精度で製造することが可能です。しかし、ベルトは異なります。ベルトはカバーと芯体帆布の組み合わせで構成されており、製造や加工の際に熱をかけるため、平坦性などの要因により、ベルトは機械部品のような寸法公差で作成することは難しいのです。
したがって、ベルトの蛇行を解決するためには、蛇行の原理を理解し、それをコントロールする方法を模索する必要があります。
さて、ここで問題です。
コンベヤを上から見た図1で、これを図2の様にヘッドプーリを傾けるとベルトはどちらに進むでしょうか?
ただしベルトの左右の長さの差はないとします。
→
実は左、右どちらも正解です。
まずは、ベルトが右に進む現象を説明します。(図3)
ベルトは先端のプーリ(ヘッドプーリ)を過ぎると、プーリは直角の方向へ出ていきます。
すなわち、右方向に行く力が働きます。
これを『糸巻き車の原理』で図4に図示した様に移動します。
図3 図4
次に左に進む現象を説明します。 (図5)
左と右のベルト長さを比べると、右のほうが長いですね。
と言うことは、右側の方がベルトの張力が高い傾向になります。
ベルトは必ず張力の弱い方向に移動します。
図5
物体は、高い方向には移動しません。
ベルトも同じで、張力の高い方には行きません。これはエントロピー増大の法則で説明できるかと思います。
結論としては、ベルトはどちらに移動するか? これは、右に行く力が勝つか、左に行く力が勝つかで、ベルトの蛇行調整方法が異なってきます。
一般的には、ゴムコンベヤベルト(両面カバー付きのため)は、右側へ移動します。
このときベルトは、張力を張った方向に寄ってきます。
また樹脂コンベヤベルト(裏面は帆布のため)は、左側に移動します。
このときベルトは、張力を張った方から逃げていく方向に寄ります。
ただし、例外としてコンベヤ機長が極端に短いなどもあるので、一度調整してどちらにベルトが移動するかを確認して蛇行調整を行うことが確実です。
この右方向に行く力は、ベルト裏面とプーリ表面の摩擦係数が関係します。
また摩擦係数が大きければ右に行く力が大きい傾向になります。
プーリクラウン(図6)は、『糸巻き車の原理』を利用した方法で、ベルトをまっすぐ走らせる効果があります。
さらにプーリにライニングすれば、摩擦係数が向上し、ベルト蛇行調整は効果的です。
図6
プーリクラウンの説明は次回コラムにて説明します。
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