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第2回も、『コンベヤベルトの蛇行』について説明します。
今回は、機械側であるコンベヤについて述べさせて頂きたいと思います。
ベルトの曲がりや左右周長差がなく、正常に作られているとします。
コンベヤ側のプーリの芯の平行度を合わせることが、大前提になります。
まず平行度については、一般的にAとBの距離、CとDの対角の距離が等しければ水平度が保たれていると言うことになります。
図1 コンベヤを上からみた図
しかし、これで終わりではありません。プーリの水平度が狂っていて、ベルトが蛇行や片寄りが発生します。
水平度は水準器などで確認ください。
図2 コンベヤを横からみた図
時折、ベルトを取り替えたが、まっすぐ走らないとの苦情も稀にあります。
取り付いていたベルトも当初は、プーリなどを偏心して蛇行調整されたかと思います。
最終的にはこの状態で、ある程度ベルトがコンベヤに馴染もうとし、ベルトの蛇行調整ができています。
この状態で、いざ新品ベルトに交換しても、うまくいきません。
新品ベルトを交換する場合は、いったんプーリのアライメントなども元の状態にして、ベルトを交換ください。
また、ベアリングの摩耗や回転不良を起こしている場合は、交換ください。
経年により駆動プーリのライニングが劣化している可能性もあり、この点も確認してください。
(ベルト交換する場合は、コンベヤの電源を切るのもお忘れなく…)
その他の蛇行調整方法で、プーリにフランジを付けて蛇行調整したいと言うお客さんもいらっしゃいます。
図4の様にプーリにフランジを付けると、ベルト表面とフランジ先端(最外周側)にベルト速度差が生じます。
仮に左側にベルトが寄ってきた場合(図5)、ベルトは速度差が早く、フランジに引っ張られ乗り上げる様になります。(図5)
このため、ベルト端部から損傷し、さらにはベルトが切断するケースもあります。
樹脂コンベヤベルトは、ベルト厚みが薄いため損傷度合いが大きくなり、基本的にはプーリフランジでの調整は推奨していません。
仮にプーリフランジを付けて調整される場合は、フランジをプーリに固定せず、フランジにベアリング(図6)などを設け回転フリーにすることでベルトの片寄りを抑制することができますのでご参考ください。
図4図5図6
また、従動プーリを分割させてベルトの安定走行させる方法もここで紹介します。
幅に対してコンベヤ機長が短い場合、(図7)の様にひし形にベルトが走行する場合があります。
これは、左右の張力バランスが崩れ、ベルト幅方向で速度差が生じ、ひし形に走行するものと考えられます。
こんな場合は、従動プーリを分割(図8)して、各々が回転フリーするとベルトが安定して走行する様になります。
図7図8
食品工場では、コンベヤ間の搬送物の乗り継ぎ性を良くするため、先端プーリをナイフエッジなどで適用する場合があります。
特にベルト広幅で、ナイフエッジを適用すると、ベルト幅方向の速度差やベルトの馴染み性の影響で、ベルトの蛇行調整が難しいケースがあります。
そんな場合は、ナイフエッジではなくベアリングを並べた『ベアリングエッジ』にすることで、ベルトがスムーズに走行することもあります。(図9)
ベルト幅が広い場合は、ベルト張力でプーリシャフトがたわむ可能性もあり、プーリシャフト櫛などで補強するなどご配慮ください。
図9
最後にプーリクラウンとベルトに設ける蛇行防止桟による蛇行調整方法について述べさせて頂きます。
プーリクラウンは、クラウン形状にベルトが馴染んで、効果を発揮する方式です。
プーリクラウン量が大きければ、ベルトの蛇行調整がしやすいと思われがちですが、クラウン量が多いとベルトが馴染みにくく
ベルトが折れ重なり、しわになる可能性もあります。
プーリクラウンは、ベルトの長さの差が異なってきます。(図10)
図10
クラウンの頂点L1は、ベルト長さが長く、ベルト張力が高くなります。
一方、L2はベルト長さが短く、ベルト張力が低くなります。
このため、この長さの差(L1-L2)を吸収する距離が必要になってきます。
つまり、コンベヤ機長が短いと、ベルト長さの差を吸収することが難しく、プーリクラウン効果が発揮しにくいことになります。
当社は、プーリクラウン量とコンベヤ機長を以下の様に目安としていますので、ご参照ください。(カタログU-144C P.94)
また、プーリクラウンの設置は、駆動プーリ・ヘッドおよびテールプーリとし、スナブおよびベンドプーリ、キャリヤおよびリタンローラには設ける必要はありません。(図11.にプーリクランを設ける部分を記載しています。一例です。)
➡すべてにクラウンを付けるとベルトが反り上がってしまう可能性があり、調整を難しくする要因ともなってしまいます。
図11※は、プーリクラウンを設ける箇所です。
続いて、蛇行防止桟は、プーリ溝で蛇行防止桟を強制的に止める方法です。
ベルトの調整によっては、蛇行防止桟の摩耗が発生する可能性があります。
経験上、蛇行防止桟で使用できる範囲は、ベルト速度:60m/min以下としています。
また『蛇行防止桟を取り付けているので、蛇行しない』と過信しないでください。
必ず初期の蛇行調整は行ってください。蛇行防止桟との干渉音ばかりではなく、エンドレス部を損傷するケースがあるので要注意です。
また蛇行防止桟のプーリもしくはテーブル溝幅の考え方については、材質や表面粗さによりますが、プーリは回転しており、テーブルはコンベヤに固定された状態となります。
どちらが接触した際に蛇行防止桟の摩耗が多いかと言うと、テーブルの方になるかと思います。
従って、テーブル溝をプーリ溝よりも大きくする方が有利かと思います。(これはあくまでも参考にして頂けたらと思います。)
また、プーリクラウンと蛇行防止桟の併用について述べさせて頂くと、プーリクラウンは左右のベルト位置をプーリ傾きで調整できます。(図12)
一方、蛇行防止桟はプーリ溝で強制されるためにベルトの位置を調整することができません。(図13)
これらの効果が合えば、蛇行防止の調整効果が発揮されるのですが、ベルト初期の蛇行防止が難しくなるため、当社は『蛇行防止桟を取り付ける場合は、プーリクラウンを付けないでください』としています。
図12図13
ベルトの蛇行に関しては、まだまだ未知の部分が多く、当社が体験した事項についても今後、コラムにあげていきたいと思います。
これらの適用範囲をまとめると下記になります。
プーリクラウン方式 | 蛇行防止桟方式 | |
コンベヤ機長 | ベルト幅の8倍以上(目安) |
ベルト幅の8倍未満(目安) ※広幅、短機長などプーリ効果が期待できないもの |
ベルト速度 | 特になし | 60m/min以下(目安) |
その他 |
粉体搬送など、ベルト裏面に廻りこむような条件 | 箱物など、ベルト裏面に搬送物が廻りこまないような条件 |
その他 |
片荷状態が頻繁にあるような条件 ※片荷:ベルト幅に対して片側に搬送物が載るような条件 |
搬送物がベルト幅に対してほぼ均等に載るような条件 |
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